日暮れて途遠し、それでも㋧どこまでも、いつまでも、山谷越え・・・

つぶやき、独り言❓【自分大好き人間】の好きな生き方、

「晏子春秋」 内編諌上第二 凡そ二十五章 第十三


「景公、履を為り、飾るに金玉を以てす、晏子諫む」


【景公が金玉で飾ったくつをはいて得意であるのを諫める】



 景公が靴を作らせる。靴の紐に黄金を使い、銀で飾り、靴の先の飾りには玉珠をあしらった大きな靴。景公は冬の寒い朝に、この靴を履いて得意満面で朝議に臨んだ。


 晏子が朝、君に拝謁すると、景公は靴が重くて足が上がらない。景公は素知らぬ顔して、
「今日は、寒いのかな。」
晏子、答えて曰く、
「あら、今日は寒いかと聞かれましたか。古の聖人は冬の衣服は軽くて暖かくし、夏は軽くして涼しくしました。その靴では冷たくて重すぎて実情にあわず冬向きではないでしょう。
 魯の国の職人の作った靴は、季節の寒温を考えず、軽重を考えず、常識を逸脱している事が罪の一つ。基準を外れて役に立たない、よって諸侯に笑われる、これが罪の二つ。散財して靴を作ったのに使い物にならない、これでは納税者に恨まれる、三つめの罪。
 役人を派遣して、罪の軽重を調べ罰しなければいけません。」


景公、いわく、
「魯の国の職人は苦労して靴を作ってくれたのだ、無罪!」
晏子曰く、
「駄目です。私が効き及んでいるのは、自身で努力して善を行う人には賞を多くして、その逆に懸命に靴を作ったとはいえ、役に立たない事は判っていた、努力してもそれに非があれば、罪は重いものです。」
景公、答えず。
晏子は朝会の席より退出し、役人を派遣して魯の職人を捕らえ、辺地に流罪とした。


景公は靴を履くのを止めた。