日暮れて途遠し、それでも㋧どこまでも、いつまでも、山谷越え・・・

つぶやき、独り言❓【自分大好き人間】の好きな生き方、

「晏子春秋」 内編諌上第二 凡そ二十五章 第十五

「景公、自ら冠装遊処の貴に誇る、晏子諫む」


「景公の宮室衣服の壮麗華美に流れるを戒む】

 ☝ここに画像をお借りしましたが、志村けんさんは、素晴らしいコメディアンでした。


 景公、遊園を造り、趣向を凝らして池をほどこした。その深さは、馬車が沈んでも見えない程で、池の辺の宮室の高さは二十四尺、横木の欄干には龍蛇の彫刻、立ての柱には鳥獣の彫刻を施した。
 景公は、古の天子の大礼服である特別な縫い取りの衣、五彩のぬいとりのしろぎぬ着ている。(衣服を具体的に記述してあるが、私はよく解らない)帯飾りの玉をつけ、髪は結ばず、冠の紐も結んでいない。景公は悪ふざけで晏子を驚かすつもりだった。
 そして毅然と南面(南面は天子の立ち位置)して立っているところに、晏子は景公に会いに行った。


景公、曰く、
「昔、仲父(桓公を助け、覇者にした管仲のこと)の覇はどんなものであったか?」
晏子、景公を見ても答えない。一度は無視。
景公、再び曰く、
「昔、仲父の覇とはどんなものであった?」
晏子、答えて曰く、
「私が聞き及ぶ事は、海辺に住む漁師、狄人は常に水の中に入るので、龍蛇の入れ墨をして、龍蛇の仲間でした。公も狄人の仲間です。柱には鳥獣の彫刻を施し、宮室は大きい。
これでは覇を志す暇など無いでしょう。
 公は宮室の大きさと華美を誇り、衣服の麗しさを自慢し、しろぎぬに五彩の縫い取りを施す。球玉を帯びて髪は結ばず長くして、冠もきちんとはせず、大きな部屋で何をするわけでもない。贅沢する事だけが取り柄ではお話にならない。
 大国の君主でありながら、君の心はおおいに迷い、正道を失って滅びに向かっている有様。これで誰とともに覇を目指すつもりですか?」


景公、堂を下って晏子に就いて曰く、
「梁丘拠、商欣(二人の側近)の二人が私に言うようにして、少し戯れて晏子を驚かせてみたかっただけだ。頼むから、部屋を変え、衣服を改めるので、私の話を聞いてくれ、それでもダメかな?」
晏子曰く、
「梁丘拠、商欣の二君は、君を惑わし、正道から外れさせるばかり、君にはもっときちんとしたことを学んで欲しい。木を切るのに、根からしないと、新芽はまた出ます。梁丘拠、商欣の二名をクビにして、君自身の耳目が欲に溺れないようにしてください!!」


厳しいなあ!一国の君主がこんなていたらくでは困るのだ!